仲筋貝塚発掘調査コーナー

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 共同研究者の早稲田大学教授谷川章雄氏は
『東アジアの歴史・考古・民俗』(早稲田
大学アジア研究機構叢書人文学篇第2巻/
雄山閣 /2009年)に下記のように
述べている。
「15世紀の沖縄先島の農耕をめぐって
-石垣島仲筋貝塚出土土器の植物珪酸体分析-」
【目次】 
1.沖縄先島の考古学編年
2.石垣島仲筋貝塚の概要
3.仲筋貝塚出土土器(試料)について
4.土器胎土の植物珪酸体分析
5.15世紀の沖縄先島の農耕をめぐる問題 
【概要】
 石垣島仲筋貝塚は15世紀中葉から後半の所産であり、
楕円形の小貝層が点在している。発掘調査は、
昭和54年(1979)12月から翌年1月にかけて
仲筋貝塚発掘調査団(代表・大濵永亘氏)が実施した。  
 この時期の社会を考える上で、中国や日本などとの
対外的な交易と稲作やウシの飼育など内的な生業の両面に
わたって、両者の関係を含めて考究する必要があったよう
に思われる。
 ここでは生業のあり方を知るアプローチのひとつとして、
仲筋貝塚出土土器についての植物珪酸体分析を行ない、
イネ科栽培植物の確認を試みることにした。  
 植物珪酸体は、植物の細胞内に珪酸(SiO2)が蓄積したも
ので、植物が枯れたあともガラス質の微化石(プラント・
オパール)となって土壌中に半永久的に残っている。
 植物珪酸体分析は、この微化石を遺跡土壌や土器胎土など
から検出して同定・定量する方法であり、イネ科栽培植物の
同定および古植生・古環境の推定などに応用されている。
 今回分析対象とした土器は11点であり、うち10点は
在地産の外耳土器、1点は搬入品とされる宮古式土器である。
胎土はⅠ類4点、Ⅱ類6点、Ⅲ類1点であった。
 植物珪酸体分析は、株式会社古環境研究所に委託した。
 その結果、2点の試料からイネの植物珪酸体が検出されたが、
密度が低いことから、遺跡周辺などで稲作が行なわれており、
何らかの形で土器胎土の素材の粘土にネの植物珪酸体が混入した
と推定される。
 イネの植物珪酸体の密度や検出率が低いので、土器胎土の素材
として水田や畑の土壌が利用された可能性は低いと考えられる。
胎土による違いは考慮する必要はなさそうである。 
 石垣島におけるこれまでの植物珪酸体分析では、13~15世紀
の複数の遺跡の土器からイネが検出され、稲作の存在が推定されて
いる。
 今回の結果もこれを追認することになった。
 『李朝実録』の1477年に与那国島に漂着した済州島民の見聞
記事から、今後は稲作のあり方の地域差とともに、ムギ類、アワが
含まれるエノコログサ属型、キビが含まれるキビ属型などにも
留意し、同時に土器の生産と流通のあり方も考えなければならな
い。
(谷川章雄、2009年)。

 

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